一本の映画から五分の魂

たかが二時間、されど二時間。

第2回:2017年公開映画の個人的トップ5を発表させていただきます!

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早速ですが、2017年公開映画の個人的トップ5を発表したいと思います!

 

「あれもこれも・・・」と、かなり悩みました。結果としては、5作品に絞りましたが、トピックごとに発表していくので、次点となった作品の名前だけでも挙げていきたいと思います!

それでは、私の昨年に鑑賞した「全38作品」から選ばれた、個人的トップ5は・・・!

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1本目:「2017年のライアン・ゴズリングも最高でした。」ということで、『ナイスガイズ!』(原題:The Nice Guys)です!(次点:『ラ・ラ・ランド』)

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 二本目:「名監督たちの確かな手腕」ということで、『沈黙-サイレンス-』を二本目選ばせていただきました!(次点:『ローガン・ラッキー』『ハクソー・リッジ』)

 

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三本目:「"シニカルさ"に居心地の良さを感じた2017年の日本映画たち」から『勝手にふるえてろ』(次点:『サバイバルファミリー』『愚行録』『アウトレイジ/最終章』『家族はつらいよ2』)

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四本目:「戦争・SF・ゾンビ・アメコミなどのジャンル映画の枠から抜きん出た傑作たち」から『新感染-ファイナルエクスプレス-』(次点:『猿の惑星/聖戦記』『ダンケルク』『ローガン』)

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五本目:「オススメをあえて一本だけ選ぶならこの映画!」から『ノクターナル・アニマルズ』(次点:なし)

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私のトップ5はいかがだったでしょうか? 

38作品しか鑑賞していませんが、選ぶのは結構悩みました。

ちなみに「最も泣いた映画」は『ローガン』です。エンドロールが涙で見えなくなってしまうくらい、嗚咽レベルで泣いてました。(最後の"X"がね...あれはズルい...。)

 

『ナイスガイズ!』。期待を裏切らなかった一作という感じです。本国での公開から1年くらいブランクがあっての期待値だったので、不安もあったのですが、蓋を開けてみれば、上がりに上がったハードルすらも飛び越えてくれる最高に楽しい映画でしたね。ライアン・ゴズリングの奇声も最高で、『プレイズ・ビヨンド・ザ・パインズ』の強盗シーンから『マネーショート/華麗なる大逆転』、そして本作と『ブレードランナー2049』で、あの声とキャラクターを習得した感があります。どんどんやってくれ。『アイアンマン3』に引き続き、縦軸と横軸の高低差と空間の広さ、作り込めらた舞台立てによるアクション演出っぷりは、いつかのジャッキー・チェン映画を思わせるくらいのドタバタで素晴らしかったです。楽しい映画って、それだけで偉い。シェーン・ブラック監督、ありがとう。次回作は『プレデター』の最新作になるそうなので、それも楽しみにしています!

 

『沈黙-サイレンス-』。マーティン・スコセッシって、やっぱり凄い、と素直にやられました。あの原作というか、この物語を、この規模で、このクオリティでやってくれるのか、と。アンドリュー・ガーフィールドもアダム・ドライバーも、名監督たちとともに堅実なキャリアを積んでくれているのも良い。『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』も、アダム・ドライバーだけは良かったから。日本の俳優陣も素晴らしかった。イッセー尾形浅野忠信のやな感じっぷりは、脳裏に焼き付いて離れません。塚本晋也の拷問シーンや、端役で登場する小松菜奈加瀬亮インパクトもさることながら、やはり窪塚洋介。キチジローを演じた窪塚洋介が忘れられない。宣教師たちが長崎に"潜入していくサスペンス"のハラハラ感や「信仰とは」「宗教とは」そして、「人間とは何か」を訴えかけてくるストーリーと、それを活かすスコセッシ監督の演出力。後世に語り継がれる傑作だと思う。学校の教材として是非に活用していただきたい。『ローガンラッキー』は、ソダーバーグがソダーバーグらしい映画をソダーバーグっぽくキチンと撮った映画で最高でしたね(雑)。『ハクソー・リッジ』は後半の沖縄戦も素晴らしいんだけど、前半の戦争に行くまでのシークエンスのほうが実は印象に残っていたり。『沈黙-サイレンス-』と同じく、主演はアンドリュー・ガーフィールド。良い映画に出演するし、良い芝居をする。観たあとに"デズモンド・ドス"という男のことを調べたくもなるし、沖縄戦への関心も高まる。それだけでも価値があるってもんです。

 

勝手にふるえてろ』。松岡茉優さんを120分間ずっと観ていられるだけでも至福なのに、渡辺大知に北村匠海など、今をときめく若手俳優が活き活きしてて、それだけでニヤニヤしてしまう。ぶっちゃけ、最終的には「松岡茉優より渡辺大知が可愛かった」という結論に至るというのがね。最高ですよ。雑な感想に見えるかもしれませんが、どんな映画においても、キャスティングはとても大事なんです。「今が旬」と呼ばれる俳優には、今しかない魅力や華があり、それをスクリーンで切り取ることはとても大事な"記録"でもあるので、本作はその意味でも素晴らしいんです。『勝手にふるえてろ』はそれ以外にも、とても揺さぶられ、翻弄される作品でもあり、主人公の恋愛観や人生観、心の移り変わりっぷりの大胆さがとても楽しい。その中には共感してしまうようなものもあれば、「えっ?」ってなってしまうようなものまで。根底には常に「主人公の生活(なたは人生)」を安全圏から観て楽しむという非常に性格の悪い性質を孕んでいて、それを自覚的かつあえてやるあたりが気に入った次第です。今回、「シニカルさ(皮肉さ)」というトピックで選びましたが、昨年に鑑賞した日本映画は特徴がそれだったように思います。大口を開けて爆笑!というよりは、ニヤッとしたり、ニヤニヤっとさせられたり、そういう傍観者である観客の底意地の悪さを露呈させるような作品がとても良かった。その意味で『サバイバルファミリー』は世界観だけでなく、時任三郎藤原紀香の夫婦のシーンとかは最高でしたね。主人公たちも「主人公だから善人」という訳でもなく、時として苦い選択をしなければならず、観客も「自分ならどうする」と他人事とは思えなくなる瞬間も多い。ラストは感動的だけど、あの展開はちょっとブラックなユーモアが感じられて、矢口史靖監督らしいな、と。『愚行録』なんてもう一番"底意地の悪さ"が目立つ映画で、なんともまあ嫌らしい物語で最高でしたね。「人の悪口を言う人達」の"顔"を喜々として撮影している感じとか、それを楽しんで演じているような俳優陣たちも良くて、臼田あさ美とか、ああいう役が本当に似合う。『鈴木先生』のときも、臼田あさ美が嫌な顔をすると、三割増しくらいで嫌な感じのシーンになる。思えば『勝手にふるえてろ』の松岡茉優北村匠海も『鈴木先生』で中学生役を演じていた子役組なんだよね。長谷川博己に土屋太鳳、やっぱ『鈴木先生』は大傑作だね。『アウトレイジ-最終章-』は文句なし。『アウトレイジ』の一作目と二作目のちょうど中間にあたるようなバランスで作られた映画で、個人的にはちょうど良かった。大杉漣が演じる組長が好きすぎて、「防弾ガラスじゃねーじゃねーか!」のシーンは爆笑しつつも、周りのやつらの底意地の悪さにニヤニヤさせられたりもする。『ソナチネ』を彷彿とはさせるけど、あそこまで退廃的ではなく、楽しみやすさがあって、本作はそこがチャーム(魅力)だった。日本映画、まだまだやれるね。吉田大八監督の新作とかも見逃したままなので、2018年はそのあたりもキチンと観ていきたい。『羊の木』期待してます。

 

『新感染-ファイナルエクスプレス-』。楽しい映画、面白い映画...つまり、エンターテインメント映画というのを衒いもなく最後まで全うした本作が本当に大好きです。「期待や予想を裏切らない展開」に辟易とする方もいるかもしれませんが、「型通り」のことをキチンと「型通り」にやってみせることの偉さというのもあって、それができてない映画も多いんです。「ゾンビパンデミック×乗り物パニック」な本作は、展開に次ぐ展開で忙しい映画ではあるんだけど、そのひとつひとつに破綻がなく、スムースかつシームレスに繋がっていくのが素晴らしい。突飛なアイデアがチープに見えかねないシーンもあるんだけど(盾で戦ったり、ゾンビが文字通り束になって襲い掛かってきたり)、それをアリにする勢いやトーンがちゃんとある映画なのでオールOKです。「ジャンル映画の枠から抜きん出た」なんて書き方をしたけど、むしろ純度100%のジャンル映画です。「抜きん出た」と書いたのは、そこに登場する「人間ドラマ」の描かれ方や演出が"B級映画"なんていう呼び名が相応しくないくらいに良くできていて、色眼鏡で嫌煙せずに、多くの方に観てもらいたい、そして感動してもらえる作品と思うからです。『新感染-ファイナルエクスプレス-』に至っては、極限状況での『そして父になる』映画なので、ラストはもうめっちゃ泣けます。馬鹿みたいな書き方だけど、だってそうなんだもの。『ローガン』で描かれる擬似的な親子関係の物語や、自分自身(過去)と血みどろになってでも向き合わなければならない人間性の描写、こどもだちの行末とローガンの最後、本当に素晴らしい物語。「X-MEN」とかよく知らないし・・・と嫌煙せず、絶対に見てほしい一本。これだけ観ても問題ありません。『猿の惑星/聖戦記』も同じくです。エイプと人間の戦争の果てに、人間ドラマが理解しておくべき人間ドラマがあるんです。

 

ノクターナル・アニマルズ』。昨年に公開された映画の中から「あえて一本だけ選ぶ」のであれば、私は迷いなく『ノクターナル・アニマルズ』を選びます。こんな映画に出会える機会は貴重だからです。トム・フォードが監督した長編映画二本目ですが、一作目の『シングルマン』といい、彼の映画作家としての才能には一種の恍惚さすら感じてしまう。『ノクターナル・アニマルズ』は、笑えもしないし、泣けもしない。喜びや楽しさといった"ポジティブ"な要素はほぼ存在しない映画。なのに「感動してしまう」のはなぜだろうか。衝撃的なまでに美しく醜い、だが圧倒的な風格と力強さを感じさせるオープニング映像から物語は始まり、主人公(エイミー・アダムス)が元カレ(ジェイク・ギレンホール)から送られてきた小説を紐解き、そのダークな物語に自分の姿を重ね、引き込まれていく。フィクションとは思えぬほど、入れ子構造の様相で映画の物語は現実と虚構を曖昧にさせていく。小説の中で描かれるあまりに残酷で冷酷な世界、暴力性と復讐心、そして正義(正しさ)に満ちた物語に観客もまた引き込まれていく。その虚構的世界の恐ろしさが次第に現実をも侵食し始め、終いには観客の住む「この世界」すらも侵食し尽くしていく。こんな恐ろしい映画はそうない。こんなに嫌で、不快で、恐ろしい映画にもかかわらず、これもまた不思議な事だが、めちゃくちゃに本作は面白くて、忘れられない映画でもある。この映画を楽しんで鑑賞してしまうところに、一種の「罪深さ」や「背徳感」があるからかもしれない。最低で最悪のことしか起きない物語で、映画なわけだが、それが「最高」へと変換されていく様が痛快であり、今年の一本に選ぶ理由である。トム・フォード監督の演出、映像の美しさ、エイミー・アダムスジェイク・ギレンホールマイケル・シャノン、アーロン・テイラー=ジョンソンなどなど、俳優陣も素晴らしい。特に、諸悪の根源とも言える悪人を演じたアーロン・テイラー=ジョンソンは本当に素晴らしい。『キック・アス』を演じていた彼はもうどこかへ消えてしまったのかもしれない。ジェイク・ギレンホールは、この精神的にキツいキャラクターをエモーショナルに演じており、終盤には役者としての「凄み」を見せつけてくれる。静的な芝居と動的な芝居が最高のバランスでミックスされているといえる(『プリズナーズ』とは真逆の役)。マイケル・シャノンはハズレなし。病に蝕まれた刑事を圧巻の貫禄で演じきった。悪人のような風貌だが、アーロン・テイラー=ジョンソンが演じるキャラクターとは対象に高潔な善人でもある。エイミー・アダムスは、その素敵さの中に垣間見えるプライドの高さなど、"嫌な女"を体現して演じていた。『ザ・ファイター』の時も思ったけど、学があって、やや高飛車で、クールで、それなりに美人でセクシーみたいな役が本当にハマる。とにかく『ノクターナル・アニマルズ』は素晴らしい映画なので是非。まだ上映してる劇場もあるかもです。

 

と、ザッとな感想や印象を書き連ねてみました。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

それではまた!次回の記事でお会いしましょう!

 

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